サイズ:F6号
画材:アクリルガッシュ
写真の被写体になって欲しいと言われた時、自分が無性に偽物っぽく思えた。
どちらの側に立つか、ということで見え方は異なる。どちらの側から見える私も、私に違いない。
「私」という一人称を、全く使わずに文章をつくることに凝っていた時期がある。あまりにも「私」を多用し過ぎだと感じていたから。「私」を一度も使わずに、自分のことを書くことは、文学でも政治でも難しくなかった。
そうやって指を刺され、答えに窮した。話し合いは長引いて、ぐったりと人々は疲れていた。既に描くことを喜びと感じなくなっていたし、ひっきりなしに来るメールに疲弊していた。私を描写する人は、自由だ。私を撮る人も、自由だった。だから、拘る必要はないと思った。
[© KANG HOJU]
※アプリ「編集室 水平線」をインストールすると、更新情報をプッシュ通知で受けとることができます。
https://suiheisen2017.jp/appli/