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戦争

亀山 亮

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第11回 パレスチナ・ナクバの再来

    瓦礫の中から家財道具を探す人々 ジェニン難民キャンプ 2002

     

    1948年のナクバ(イスラエルの建国)で故郷を追われ、避難先のキャンプで再建した家もイスラエル軍に再び破壊されてしまった老人 ジェニン難民キャンプ 2002

     

     

     現在、パレスチナでは未曾有の人間が殺され続けている。

     戦闘開始から半年で死者の数は3万5千人を超え1万人以上の犠牲者が瓦礫の中に埋まったままだ。

     国連は遺体を収容するだけでも最大で3年かかると言う。

     2年前に始まったウクライナ戦争よりも非戦闘員の女性や子供の犠牲者数も圧倒的に多い。

     2002年ヨルダン川西岸のジェニン難民キャンプでイスラエル軍によるパレスチナ人の虐殺を取材した時に見た光景と同じことがガザ全体で大規模に行われている。

     ジェニンキャンプでイスラエル軍は無差別攻撃の後、軍用ブルドーザーで逃げ遅れて建物に残った人々もろともすべてを押し倒し、破壊し粉々にしていった。

     キャンプを封鎖するイスラエル軍の目を盗んで漸くキャンプに入ると焼けこげた遺体の断片が転がりキャンプ全体に強い死臭が漂う中、時折やってくるイスラエル軍の戦車に怯えながら住民たちは瓦礫を素手で掘りながら家族を探していた。

     敵対する人々の存在の痕跡を消し、民族そのものを浄化しようとする人間の結晶化した憎悪の狂気の光景は今も僕の脳裏に強く焼き付いている。

     

     

     

     

     

    [© Ryo Kameyama]

     

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