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戦争

亀山 亮

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第17回 アンゴラ共和国

     

    義足をつけた女の子は誰とも喋らずに一人で寂しそうに座っていた。2003年

     

    停戦後、およそ7000人がジャングルの中のUNITA(アンゴラ全面独立民族同盟)支配地域から難民キャンプへと移動した。2003年

     

     

     

     激戦地だった南部のクイトは街中の建物が漫画のトムとジェリーに出てくるチーズみたいに穴だらけにされていて度肝を抜かれた。爆弾の破片と銃弾によるものだ。長年、この街が2つの武装勢力の境界線となっていたためだと聞かされる。建物としての原型がほとんど残っていないような場所にも人が住んでいた。

     クイトは地雷も多く、地雷の負傷者のためのリハビリセンターには多くの人たちが集まっていた。

     10歳ぐらいの小さな女の子がひとり、悲しそうにぽつんと座り込んでいた。義足をつけているが、うまく歩けないようだ。持ってきた飴玉を手渡しながら話すが、自分のポルトガル語の能力が足りず歯痒い思いをした。スペイン語と似ているから大丈夫と高をくくっていたのがよくなかった。

     小さな体につけられた無機質なプラスチックの義足を見ながら、生きていくための闘いが始まったばかりの彼女にかける言葉が見つからず、その場をそっと離れた。

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    [© Ryo Kameyama]

     

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