入管施設に繰り返し長期収容されたのは違法だとして、難民申請中の男性2人が国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高等裁判所(中吉徹郎裁判長)は9月30日、国に賠償を命じた一審・東京地裁判決を取り消し、「入管に裁量権の逸脱はなく、違法とは認められない」と原告側の逆転敗訴とする判決を言い渡した。(共同通信配信記事より一部抜粋)
僕が原告の一人、クルド人デニズ(47)と彼の妻と知り合ったのは2021年だった。
彼は長期収容中に入管職員に暴行を受け、仮放免後も自殺未遂を繰り返していた。
アベノミクスにより社会格差は拡大し、隷属的に安い賃金で外国人労働者を働かせるシステムを作り出した安倍政権は、コロナ禍でのオリンピック開催を強行する一方で自分達にとって利用価値がないと判断した外国人に対しては人権を無視し、2015年頃からオリンピック開催時に混乱が起きないようにという名目で、難民申請をしている外国人に対して長期収容を強いた。トルコから日本にやってきたクルド人のデニズは茨城県牛久にある入管施設に複数回、最長で3年2ヶ月にわたり収容されていたが、新型コロナ感染症の対策で昨年一時仮放免された。
クルド人は国家を持たない民族で、トルコでも長年にわたり迫害され、以前は母国語を喋ることさえ許されていなかった。デニズの父親の故郷はトルコ軍によって破壊され、多くの同胞が虐殺された。デニズは10年前に日本人女性と結婚した後も日本滞在を認められていない。
彼は入管収容中に大量の睡眠薬を処方され、自殺未遂を繰り返した。「長期収容されている人の多くが睡眠薬中毒だ」とデニズは言う。そして、そんな待遇の改善を求めてハンガーストライキを起こす度に、入管は彼が死んで責任を問われるのを恐れて2週間の仮放免を認める。2週間後に再び入管に訪問すると「何でまた馬鹿正直に戻ってきたんだ? 逃げればいいのに」と入管職員はおかしそうに話すという。
「自分は何も悪いことをしていない、ただ難民として日本での滞在をきちんと認めてほしい。だから自分は収監されに戻るんだ」とデニズは話す。
先日、連れ合いが品川の入管にデニズに面会に行った際、「もしトルコに送還されたら(こめかみに人差し指を当てて)、もう(死)これだよ」と以前よりも老け込んで痩せこけたデニズの姿にびっくりしたと彼女は言った。そして面会所の窓枠に「FUCK」と面会室に入る鍵で刻まれたと思われる文字を見つけ、「ここに来るみんなの気持ちは FUCKだよねと私も同じ気持ちだった」と独りごちた。

一緒に収容中だったチリ人がデニズが首吊りした時の様子を描いた絵

自宅でくつろぐデニズ

自宅近くの公園にて

2019年1月19日、入管職員が撮影したデニズが職員に暴行された映像。デニズが提訴した国賠訴訟での証拠として入管側が東京地裁に提出したもの
[© Ryo Kameyama]
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